歌を育てる、人を育てる 音楽の本質を追究するヒットメーカー
YUIや絢香、マリアなどJーPOPを代表するアーティストを続々と発掘、育て上げてきたプロデューサー、西尾芳彦氏。独自に研究、分析を重ねて生み出した音楽理論「ヴォイス理論」を展開し、1996年、地元福岡にてミュージックスクール「音楽塾ヴォイス」を設立。今年4月には東京校を開校。1人1人の才能を伸ばし、眠っている潜在能力を引き出す少人数のレッスン体制が話題の同校の特徴、そして同校出身のアーティスト、マリアの魅力について話を伺った。
──音楽塾ヴォイスを立ち上げたきっかけ、設立までの経緯を教えてください。
今から25年ほど前、僕も一度メジャーデビューを経験しているんですよね。そして、その後、1988年に一旦は音楽業界を退いたんです。しかし、福岡で、土日だけ音楽スクールの講師をやり始めたことで、また音楽への気持ちが再燃して。1997年、音楽塾ヴォイスを立ち上げました。
──ヴォイス理論は西尾先生独自の音楽論ということですが、どういった内容になるのですか?
この理論では、コード進行ひとつにしても、具体的にどう曲作りに応用していくのか、曲を聴いたときに感動したり、切なくなったり、そういった感情のひだ、奥深さを曲にして表現したいと思ったときにどう必要になるのか、ということを考えます。新旧問わず、何十年経っても色あせない音楽、耳から離れないメロディ…。そんな音楽が生まれるのはなぜ? ということを研究、分析をした上で、こんな秘密があったんだという共通点みたいなものを自分なりに見出したのがこの理論なんです。
──そのヴォイス理論を生み出し、数々のヒット曲を世に送り出してきた西尾先生が「これだ!」と感じるアーティストの共通点はあるんでしょうか?
「今だけではなくて、その先の姿が見える人」だと思いますね。マリアやYUI、絢香は、最初は楽器が何もできなかったし、音楽のことはまったく知らない状態でした。でも3人とも「音楽が好き、歌が好き」っていう気持ちが共通していたんです。塾では本人の声を聴いたり、全然できないことを1回やらせてみたときの習得スピードや瞬間的な反応などを見るテストがあるんですが、それをしたときに、これからの姿が具体的に僕の中で描けるアーティストなのかどうかっていうところが重要になってきます。
──そんな西尾さんが思う、マリアさんの魅力とは何でしょうか?
これから引き出せる魅力がたくさんある子だろうなと思いましたね。彼女に対しては、ロックが好きという部分、アーティストとしての軸はぶれないようにしながら、表現の幅を広げてあげたいと思っています。しっかりとした基礎がつけば、あとは自分でいろんなものを吸収したり選んでいく子だと思います。将来的には上へ上へと自分で歩いていけるようになって欲しいですね。
──最後に音楽塾ヴォイスの今後、展望を教えてください。
東京校もずいぶん生徒が増えて、来年早々にも500人体制くらいになる予定です。でも今まで通り、1クラス3人までの少人数レッスンでしかやるつもりはありません。歌や楽器ができなかった人ができるようになって、中には才能が伸びる人がいて、そこを発掘して育てて磨き、世に出すというスタンスは、これまでと変わらないところですね。また、ヴォイスの授業は日本一厳しい虎の穴。それは音楽だけでなく、人間性や内面的なものも育てることを常に意識しているからこその厳しさなんですよね。そのためにはこちらもスキルアップが必要だし、原石を見る目も養っておかなくてはと思いますね。ヴォイスはこれからも常に前向きに音楽を学べる場所でありたい。その夢は変わらず、これからもずっとやっていきたいと思っています。
書籍 ヴォイス理論30/301
光文社 \1,200(税込)
YUI、絢香などのメジャーアーティストの数々のヒット曲を生み出した人気プロデューサーであり、彼女らの母校である音楽塾ヴォイスを主宰する西尾芳彦氏の初の著書。彼自身のミュージシャンとしての苦闘の人生とそれを通して学んだ、名曲を生み出せると話題の「ヴォイス理論」がわかりやすくまとめられた一冊。熱き心でヒット曲を生み出し、メジャー音楽シーンでの活躍を志す、すべてのミュージシャンと指導者にとって必読の書となっている。
著者プロフィール
西尾 芳彦(にしお よしひこ)1961年、佐賀県生まれ。大学在学中の1982年にロックバンド 「Voice」を結成。1984年、ヤマハポピュラーソングコンテストで入賞しメジャーデビューを果たす。その後ソロに転向するが1988年、音楽業界から退く。1997年、福岡にて音楽塾ヴォイスを設立。独自の音楽理論「ヴォイス理論」理論を構築し、生徒をメジャーデビューへと導く。
コメント
この記事へのトラックバックはありません。
この記事へのコメントはありません。