闘病体験をもとにアートで、バンダナで、
人助けがライフワーク!!
Monthly Guest vol.34
藤野 ア子さん
画家、AKOバンダナショップオーナー
色とりどりのバンダナが豊富に揃っている全国でも珍しいバンダナ専門店「AKOバンダナショップ」。抗がん剤治療で髪が抜けた人、脱毛など髪の悩みを持つ人を思い、オープンさせた。店のオーナーでバンダナをデザインしているのは画家の藤野ア子さん。自身も4年前に乳がんが見つかり、抗がん剤治療で髪を失った。夏はウイッグは暑く、蒸れる。帽子は脱毛した後頭部やうなじを隠し切れない。思い悩んだとき「だったら、もっと良いものを自分で作ろう」と思い立った。闘病中は自分で描いた作品を病室に飾り、眺めることで気持ちを前向きに保てた。芸術が持つ、人の心を癒す力を肌で感じていた。だから明るい柄を描き、後頭部も隠れる、通気性のいいバンダナを生み出した。
店にはバンダナと同柄のエプロンなどさまざまなアイテムが並んでいる。ネットショップも開設していて、全国から買い求めにやってくる。「誕生日や母の日などに、自分の大切な人を思い、買いに来られるお客様が多いんです。人って優しいなってつくづく思います」。
昨年11月からは、がん患者や家族、友人などと闘病の悩みを分かち合う「ピアカウンセリング」を始めた。また、髪の悩みを持つ人が気軽に行ける美容室を示した全国地図を作成し、ホームページに載せている。「髪の毛が抜けると美容室に行きづらいもの。だから脱毛の経験者などがいる美容室を地図にしました」。
乳がんの治療は続いているが、藤野さんは気さくでおもしろい。明るく日々を過ごしている。時々、友人と夜の街に出かける。そんなときは焼酎を果物ジュースなどで割り、しばしの休息を楽しんでいる。「悪酔いせずにホワッと気持ちが軽くなるから好きですね。中でも黒霧島が気に入っています」。
イタリアの地球儀メーカーからオリジナル商品をデザインしてほしいと依頼も届いたり、子どもたちに絵を教えたりと多忙な日々を過ごしている。今後は「これまでの経験とアートの力で世界中に元気を発信していきたい」。常に前を向き、一歩一歩邁進している。
Profile
都城市出身。3歳から絵画を学び始め、16歳で個展を開く。大阪芸術大学卒業後、県内の高校に勤務。1991年から2年間、情報誌「タウンみやざき」の表紙を担当。07年6月に乳がん告知を受ける。7月に手術をし、退院後の10月には闘病生活をつづった絵本「ア子さんのリボン」を発行。ホルモン療法を受けながら銀座(東京)などで個展を開くほか、県内各地で乳がん体験や絵本の読み聞かせなどの講演をしている。10年、バンダナショップをオープン。11年からは同店でピアカウンセリングも始めた。父親はアートディレクターの藤野忠利さん。
●AKOバンダナショップ
宮崎県宮崎市松山1丁目9-26現代っ子センター1階
TEL:0985-28-9535
http://ako-bandana.com