創業100年、のれんを守る
四代目女将の心意気。
Monthly Guest vol.36
興梠 亜紀子さん
大盛うどん四代目女将
飲食業界の競争が激しい大競争時代。そんな中でも利潤を求めてセルフ式にするのでもなく、支店を出すこともせず、1店舗のみで100年たっても変わらない味と接客を守り、多くの人に愛されている店。その店を夫の秀広さんとスタッフと切り盛りする興梠亜紀子さん。宮崎市江平の商店街にある「大盛うどん」の四代目女将だ。
毎朝5時過ぎに起床し、子どもたちのお弁当を準備した後は、店の仕込みに入る。営業時間はスタッフの動きとお客様が見通せる場所に立つ。来店客が気持ちよく過ごすことができるように目と心を配るためだ。「味はもちろん、サービスの面でも気は抜けません。来て下さった方の信用を裏切らないように心掛けています」。
大盛うどんは大正2年から続く老舗。来年で創業100年を迎える。独特のやわらかめの麺と、濃い色をした甘めのつゆが特徴で、この味を好み、やってくる人は数知れず。3世代、4世代家族で通い続けている人も少なくない。
歴史あるのれんをとぎらすことなく、どう生き残っていくか。変えてはいけないものと変えなくてはいけないものを、夫と考えながらやっている。メニューを増やし、毎月第3木曜日はうどん・そば100円引きの日を設けるなど四代目として新しい挑戦をしている。のれんを守ることはプレッシャーでもあるが、「大盛うどんの印象を壊さず、1ミリずつでもよくすることを考えています」と持ち前の明るさで奮闘している。一方で、江平商店街の活性化にも力を注いでいる。「商店街があっての当店なんです。商店街を守ることは大切」。
翌日が休みの日は時々、自宅で「スナックあっこ」を開店する。そんなときは、おつまみと霧島を水割り、ロックなど好みに応じて作り、商店街のスタッフなどをもてなす。モットーは「なんといっても女性は素敵でいなきゃ」だ。女磨き、母親磨き、女将磨き、店磨き…、多忙ながらも自己研鑽と店繁盛への努力に余念はない。
Profile
宮崎市出身。宮崎大宮高校家政科を卒業後、東京の短大に進学。卒業後は洋服関係の会社へ就職し、ステージ衣装などの製作に10年携わっていた。1996年に大盛うどんの後継ぎを考え帰郷。結婚、出産、育児をしながら店を手伝い、約10年前に夫の秀広さんと「大盛うどん」四代目となる。現在はフェイスブックやツイッターで店の情報を発信するなど、古きを守りつつも新しきものも取り入れながら、来年創業100年を迎える老舗ののれんを守っている。宮崎市江平の商店街活性にも尽力。2児の母。