「答え」を探しているすべての人へ。
ステージ中央、暗闇の中に浮かび上がる1台のピアノ。そこへ現れた1つのシルエットに、この日を楽しみに待ち続けた多くの観客は大きな歓声を上げた。アンジェラ・アキさん、彼女ほど性別・年代問わず誰からも愛されるアーティストは珍しいのではないだろうか。今年2月にリリースされた『ANSWER』を携え、4月からスタートした全国ツアー。ピアノ、ドラム、ベースのみというシンプルなバンド編成で行われたステージは、彼女の存在感をより強くし、伸びやかな歌声と力強く繊細なピアノの音色は私たちを魅了した。
一曲目は、キャッチーでポップなサビが印象的なヒットシングル『たしかに』。スタートからいきなりのクライマックスと思えるほどの盛り上がりをみせ、観客は総立ち状態!彼女も体を揺らしながら、その声援に答える。「皆さんこんにちは! アンジェラ・アキです!」1曲目演奏後のMCで、笑顔で叫んだ第一声に続いて彼女は「注意事項があるんですけど。私、ほんま、ごっついしゃべる人なんです!」と気さくに話しかけてくれた。そう、彼女の魅力を知る上で欠かせないもののひとつがそのMCにある。「アットホームなライブにしたい!」という言葉通り、笑いや方言を交えた明るく楽しい彼女のおしゃべりに、観客もぐいぐいと引き込まれていく。
演奏では、ボブ・ディランのカバーで映画主題歌としても話題となった『Knockin’OnHeaven’sDoor』や『FinalDestination』と、アルバム『ANSWER』収録曲からの楽曲が続く。デビュー曲「HOME」の後には、洋楽や邦楽曲のカバーを披露しながら英語を勉強しよう!という『勝手に英語でしゃべらナイト!』と題したコーナーに突入! この曲がどうしてここまで多くの人に親しまれているのかを検証。歌詞の冒頭に入る「Hey」という言葉に注目し、同じような手法が用いられた名曲たちの一節を次々に熱唱してくれた。そんなリラックスムード漂う中、次に披露されたアップテンポな曲調の『Again』で、会場の熱は最高潮に! 中盤からは『黄昏』、昨年、祖父が亡くなったことをきっかけに生まれたという11分の大作『レクイエム』、初めて一緒に暮らした恋人との思い出を歌った『ダリア』などを披露。ヒットシングル『サクラ色』、『ファイター』、そしてアルバムとツアータイトルにもなっている『ANSWER』と続く。本編ラストでは公演前に渡された歌詞カードを手に、全員で『手紙』を大合唱した。
彼女のライブで、まず一番に感じることは、歌が本来持っている圧倒的なパワー。日常に疲れたとき、悩みを抱えたとき…。彼女が綴る言葉や歌は、常に愛と生きることへのメッセージに溢れ、心に一筋の光を与えてくれる。前半のMCで彼女が話した「つらいこと、嫌なことは会場の床に置いて、楽しんでいってくださいね」という言葉が時間が経つにつれ、じわじわと胸に染みこんでくる。そしてライブ終了後には、すっきりとした爽快な気持ちに包まれる。またアルバムとツアータイトルにもなっているキーワード『ANSWER』に込められた、人生において結果ではなく、答えを見つけようと探し続ける「プロセス」が大切であるということが表現されたライブでもあった。
本編終了後、ファンからの手拍子に迎えられて始まったアンコールでは、リンドバーグの「今すぐKISS ME」をカバー。ラストは「This Love」で締めくくった。まだまだ終わって欲しくない!そう思えるほど、あっと言う間に時間が過ぎたアンジェラさんのステージ。心地よい余韻と、生きていく勇気を与えられたような、そんな心温まる素敵なライブだった。
最後にアンジェラ・アキさんから、宮崎のみんなに嬉しいメッセージ!
「私は宮崎で育ったのかというくらい、熱気がすごくて…。時間があっと言う間に過ぎ、とても楽しいライブができました。お客さんの熱い声援が本当に嬉しかった。また絶対に帰ってきます!宮崎最高!」
ステージから「ありがとう!」と、笑顔で何度も手を振りながら去っていったアンジェラさん。ファンを楽しませること、温かい気持ちにさせること。彼女の常にファンを大切にしたいという思いが形となった今回のツアー。また宮崎で彼女に逢える日を楽しみに待ちたい。