表現する楽しさを知ると
みんな元気になります
Monthly Guest vol.16
堀内 景子さん 書家
まるで笑っているような字、いかにも悲しそうな字。書家の堀内景子さんが描く文字は、どれも豊かな表情を持つ。その文字たちは、「言葉の背景をイメージしながら、その時の気持ちを乗せて書いた文字」だと言う。
堀内さんは子どもの頃から習字教室に通って書道に親しんだ。就職、結婚で遠ざかっていたが、子育て真っ最中だった25年ほど前、高鍋公民館で書道教室が開かれることを知り「書きたい」衝動にかられた。「その頃、奥さんやお母さんと呼ばれて、自分ではないような気がしていた。何だか無性に“自分”を表現してみたくなったんです。それが書くことでした」。
堀内さんの書作は、イメージを膨らませることから始まる。俳優が役になりきるように笑ったり、怒ったり、踊ってみたり。仕事や家事をしながらでも頭の中は存分に楽しみ、悩んでいる。そうして、配置や描き方までイメージできたら、一気に書き上げる。「だからまとまった時間がとれなくても、書ける時に道具をぱっと出してぱっと書く。何度も書き直すことはあまりしないですね」。
聞いていると十分な基礎ありきに思えるが、その手法は主宰する「楽しみま書教室」で惜しげなく伝授されている。
筆の持ち方、線の引き方、構図など基本を教えて、あとはイメージを膨らませていくと、自分だけの作品ができあがるという。「今までお手本なしでは書けなかったのに、自分の作品が作れた」、「知人に書いて欲しいと頼まれた」など、生徒たちの感想は、創作によって思いがけない自分を発見できた喜びに溢れている。 出会いが大好きで、宴会も好き。「お酒は飲めませんけど、飲んだイメージで盛り上がれますよ」と笑う堀内さん。その笑顔と行動力で、表現の素晴らしさを広める伝道師のようだ。
Profile
熊本県出身。小学2年生から習字教室に通う。
平成11年に友人と初の作品展。平成15年から県内での教室も始め、大阪、東京でも個展や体験教室を開催。読売書法展入選、幽源展入賞など。タイガー炊飯ジャー「土鍋釜・黒」、ミスタードーナツのCMロゴも手がける。4月から半年間、宮日新聞にコラムを連載。高鍋町在住。
●教室名:楽しみま書
TEL:090-2082-1122
http://www.tanoshimimasho.com/