●1stアルバム『Hello! My name is Leola.』発表後、初のシングルとなりますが、アルバムを経て見えてきたことなどはありましたか?
Leola「1stアルバムを出したことで、デビューからの約1年半がひとつ目のピリオドになった感覚があります。作品を振り返ってみても私らしい1stアルバムだったと思います。今はまたここからセカンド・タームが始まって、いろんな場所に赴くなどいろんな方向性にチャレンジしていきたいなと感じています」
●昨秋には初のワンマン・ツアー『Leola 1st Oneman Live “Hello! My name is Leola.”』を成功させました。実際にアルバム収録曲を届けられたことで実感したこと、これからの展望に影響したことがあれば教えてください。
Leola「音源として完成したものをライヴで披露して、また新たな命が吹きこまれるような、そんな感覚になりました。歌を届けたい相手を目の前に歌うことで、予想を超える化学反応が起きるんです。3公演やらせていただいたのですが、それぞれ違うライヴになったと思います。あとは、お客さんと一緒に楽しめる曲を、もっともっと増やしたいなと想いを新たにしました」
●そこから、今回のシングル「Puzzle」はどのような想いで制作をスタートさせたのでしょうか?
Leola「セカンド・タームの第1作目として、ここからまたリスタートするような気持ちで5枚目のシングルを出したいと思って制作に入りました。だから、今までとはちょっと違う表情であったり、1stアルバムから階段を2~3歩を上がったLeolaの姿を見せられたらいいなって」
●表題曲「Puzzle」は映画『パンとバスと2度目のハツコイ』の主題歌に起用されていますが、どのような経緯で実現したのでしょうか?
Leola「映画の制作スタッフの方から主題歌のお話をいただいて制作した楽曲です。最初に役者さんのお芝居だけ入った映像を観てから、監督さんが伝えたかったことや想いをうかがったりして歌詞を書いていきました。監督さんには「私がヒロインになったような気持ちで書きます」と伝えました」
●Leolaさんには、この『パンとバスと2度目のハツコイ』という作品はどのように映りましたか?
Leola「ヒロインは、ひとりで生活することや何かに取り組んでいくことに恐れを持たない女の子。もっと言うと、誰かと深く関わり合うことで生じるズレであったり、うまく噛み合わない人間関係を面倒臭いと思って、「私は孤独が好き!」と思っているような女の子だと感じました。でも、初恋の人が現れて、その男の子の変わらない姿を見て、やっぱりそばにいたいっていう感情が芽生えていくんです。誰かと深く関わりたいと思えば思うほどうまく自分の想いが伝えづらくなったり、100%の想いを100%で届けることに不器用になってしまう経験って自分自身にも凄くあるような気がします。恋愛だけではなくて、人間関係で空回りしてしまった経験がある方も共感できる、そんな作品だと思いました」
●そんな背景を持って制作された今作「Puzzle」は〈君にまた恋をしている〉と恋心をつづった冬バラードですが、歌詞の世界観を教えてください。
Leola「映画のヒロインが発する言葉や振る舞い方はとても大人びているんですけど、初恋の人に心が揺らいでしまったり、実はとても女の子らしい部分もあるんです。きっと根本にある感情って、誰も操作することはできないと思うんです。自分は大人でいたい、強くありたいと思っていても、心は揺らぐものですし、本当の自分に気づいてしまう瞬間もある。みんな普通の女の子なんだよって、そんなメッセージが
込められた歌詞になったと思います」
●歌詞の中で気に入っているフレーズやポイントになる言葉などがあれば具体的に挙げていただけますか?
Leola「サビの歌詞に〈運命も正解も その先も、あるのかはわからない〉、〈永遠も約束も これからも、頼りには出来ないの〉というフレーズがあるんですね。永遠だと思っていても、それはどこかで終わりがくるかもしれないし、約束をしていても守られないことだってあるという、確かにそれが現実かもしれません。でも、そういう不確かなもの、頼りにできないものであっても、信じたい気持ちは誰もが持っていると思います。強がる気持ちが表現されたサビの歌詞に対して、それでも〈左斜め後ろが 今の私の居場所〉って普通の女の子と変わらない感情が表現できたところが、自分でも凄く気に入っています」
●歌詞にも出てくるワードですが、タイトルを「Puzzle」と掲げた理由を教えてください。
Leola「恋愛だけではなく、人と関わり合うことって、パズルみたいなだなと考えたんです。この人とどうしたら気持ちが合わさるかなって、いろんな手段を試してみたりしますよね。この曲で私が表現したかったことを、うまく説明してくれる言葉が「Puzzle」でした」
●トラックは、どのような視点で制作したのでしょうか?
Leola「今回も坂詰美紗子さんに作曲をお願いしました。ミドルテンポで緩やかなメロディなんですが、音が詰まっているんですよね。この曲のメッセージ性の強さを詰め込むにはぴったりのトラックでした。でも、実際にレコーディングしてみると音数が多い分、凄く難しかったです。早口でしゃべっている時みたいに前のめりになってしまったり、息を吸うタイミングがわからなくなってしまったりしたこともありました。それだと言葉が伝わらないので、なるべく滑らかに聴こえるように気をつけて歌いました」
●MVも撮影していますが、どのような仕上がりになりましたか?
Leola「初めてストーリー仕立てのMVに挑戦しました。今までは私が主人公のような撮り方でしたが、今回は私以外のところで物語が進行していて、それを私が俯瞰して見ているような世界観になっています」
●映画とは違う、MVならではの世界観になっていますよね。
Leola「ありがとうございます。MVでは、ある女の子と不思議な仲間たちの物語を作っていただきました。それは、今回は人の心の変化を描いている楽曲なので、恋愛のストーリーだけに収まることなく、別の角度からもこの曲を捉えてもらいたかったからなんです。映画とはまったく違うストーリーでMVを作ってもらいました。心のやり取り、そして心はどう動かされていくのか、そんなところに注目して観ていただきたいです」
●では、カップリング曲「My girl」はどのように制作していったのでしょうか?
Leola「これはチャレンジの曲でした。私にとっては「Puzzle」も新たな挑戦だったのですが、この「My girl」も完全に振り切って臨んだように思います。シティ・ポップ感のある曲にトライしたいという気持ちがあったので、やるからには中途半端にやるのではなくてLeolaにもこんなアプローチがあるんだと意外性を感じていただけるようにがんばりました」
●そんな新たな挑戦となったサウンド・アプローチに対して、どんな歌詞を乗せたのでしょうか?
Leola「歌詞だけを読むと、結構きゃぴっとした女の子同士のやり取りに受けた取られるように思います。〈悩んでいてもしょうがないから、一緒に遊び行こうよ〉みたいな世界なんですけど、曲のアレンジがシックで大人っぽいので、年齢を問わず聴いていただけると思います。歌詞の世界観と曲のアレンジの意外な化学反応から生まれた楽曲なので、歌でバランスを取るためにかなり試行錯誤しながらレコーディングしました」
●通常盤のみに収録されるカップリング曲「やさしさに包まれたなら(2017 studio session)」は荒井由実さんの名曲のカバーですが、先のワンマン・ツアーでも披露していた曲ですよね?
Leola「はい。ワンマン・ツアーのセットリストの中にカバー曲を入れるなら、自分のルーツにもなっている曲のひとつを聴いてもらいたいという気持ちがありました。荒井由実さんの「やさしさに包まれたなら」は、映画『魔女の宅急便』を観て知ったんですけど、大好きな曲で小さい頃から歌っていました。この曲が私に魔法をかけてくれた、そんな気がしているんです。だから、カバーする曲を選ぶなら、まずは「やさしさに包まれたなら」だと考えてアレンジも自分のルーツであるカントリーでお届けすることにしました。原曲とは少し違う景色を見せることができたのではないかなと思っています」
●スタジオ・セッションの様子も教えていただきたいのですが、Leolaさんもギターを片手に歌ったそうですね?
Leola「はい。ワンマン・ツアーの時と同じように私もギターを弾いています。ただ、ライヴのアレンジから少し手を加えていて、コーラスやパーカッションを足したり、カントリー感をプラスしたかったのでマンドリンを弾いてもらったりしています。コーラスも三声から四声にしたので、広がりのあるふくよかなアレンジになったんじゃないかなと思います」
●冒頭にテイクのカウントが入ったり、生っぽさも伝わってきますよね?
Leola「1stアルバムに収録した「Hello! My name is Leola.」の時もそうだったんですけど、本当に全員がせーので演奏していて。スタジオで演奏したそのままの音が詰め込まれている音源です。その場だからこそ生まれるライヴの温かさが伝わればと思っています」
●初回限定盤の特典として「Puzzle」MVと初ワンマンのドキュメント映像が収録されるそうですが、ドキュメント映像はどんな内容なのでしょうか?
Leola「実際に会場に来てくださったファンのみなさんからのコメントを録っていただいたので、そんなとっても嬉しい映像も収録されています。あとは、私がワンマンを終えて感じた気持ちだったり、そのファンのみなさんのコメントを聞いて感じた想いだったりを、カメラの前で話しています。ライヴの映像はもちろんですが、音楽以外の言葉のやり取りも感じてもらえるんじゃないかなと思っています」
●緊張で泣きそうだったシーンも映っているんですか?
Leola「(笑)緊張ですっごい怖い顔している場面とか、ステージ袖の様子も収録されていますね。「よっしゃー!!」と気合い入れをしているシーンとか(笑)、自分でもちょっと照れくさかったです。そんな楽屋裏とは対照的に、ステージでは凄く自然に笑顔になれたのも初ワンマンの思い出です」
●Leolaさんは過去にも主題歌を担ってきましたが、主題歌を歌うことについてご自身としてどう捉えていますか?
Leola「とにかくありがたいという気持ちがまず最初にあります。あとは、主題歌を歌うということは、映画の看板を背負うようなものである気がしていて、その作品を代弁するような曲を書かなきゃいけないという責任も感じています。せっかく書かせていただくのであれば、作品にぴったりと寄り添えるような曲を書きたいので、悔いのないように自分ができる限りのことはやるようにしています。まずは自分がその作品のことを理解すること、そして心から好きだと思って書くことが一番であり、そこも責任のひとつであると思っています」
●今作のアートワークは過去作品と少し違ったアプローチに見えるのですが、何か想いがあったのでしょうか?
Leola「はい。ビジュアル面に関しても、今作が私にとってのセカンド・タームの始まりというところで変化をつけたいという気持ちがありました。写真とイラストというアプローチは変わりませんが、コンセプトとして一貫したところもありながら、今までとは違う次の私を作品のビジュアル面でも感じていただけたらと思います」
●また、この後は『Leola 1st Oneman Live “Hello! My name is Leola.”』の追加公演も控えていますが、現在の意気込みを聞かせてください。
Leola「追加公演をさせていただけるのは、本公演に来てくださったみなさんあってのことだと思っています。本当に感謝しています。次は本公演では行けなかった場所での公演ということで、まずは私のライヴを体感していただくこと、そして満足して帰っていただくことを一番に、本公演でやった内容をベースに、またパワー・アップしたステージにできたらと思っています!!
●最後に、今回の記事を読んで今作に興味を持ってくれた方へメッセージをお願いします。
Leola「この1枚を聴いていただくと、きっといろんな私を見て聴いて感じていただけると思います。変わらない私、シンプルでいたい私、挑戦を楽しむ私と、2018年に私がやりたいことを感じてもらえるんじゃないかなと思いますので、ぜひ堪能していただけたらと思います」