三味線で人に、街に元気を贈る
伝統音楽の継承者
Monthly Guest vol.39
村上 由哲
村上三絃道家元
「夢というのは宝の島なんだよ。夢や目標がまだ見つかっていない人は、宝の島に行くために地図を持って旅をしているところなの。絶対、宝の島は見つかるからね」。小・中学生に熱いエールを送るのは村上三絃道の2代目家元・村上由哲(むらかみよしのり)さん。全国の小・中学校から依頼を受け、スクールコンサートを行っている。「三味線を介して、子どもたちに何かを感じてもらえたら」。村上さんは全身全霊でコンサートに臨む。最初の10分は三味線を奏でながら子どもたち一人一人の目を正視し、心を感じ取る。演奏を終えると子どもたちに三味線に触れさせながら声を掛け、元気の息吹を吹き入れる。訪問した学校からは「悩みを抱えたり、元気をなくしていた生徒にも笑顔が戻りました」など感動の声が次々と寄せられてくる。
村上さんが三味線に出会ったのは小学生のとき。初代家元である父親の演奏に魅了されたのがきっかけで練習を始めた。才能はめきめきと開花し、高校一年のときには弟子を取れるほどになり、28歳で2代目家元を襲名。現在は稽古の指導にあたるほか、国内だけでなく海外公演など世界を駆け回る多忙な日々を送っている。
若くして家元を襲名し、伝統芸道を守り継承する役目を背負ってから20年以上がたった。どんな試練も「自分らしくがんばっていれば、自ずと道は拓けていくもの」と乗り越えてきた。強固な信念と努力家という凛とした生きる姿勢の一方で、素顔は「お酒は、てげ大好き」と豪語する気さくで楽しい女性。晩酌はせず、飲みたいときは外で友人と楽しいひとときを過ごすことにしている。「もちろん焼酎はロックです」と目を細める。
来年は三味線を始めて40周年。今年は綾ユネスコエコパークのイメージソングの演奏を娘の由宇月(ゆうづき)さんと奏でている。今後も「日本の伝統音楽を世界の人に聞いてもらい、三味線で世界の輪を広げていきたい」。と、村上さん。宮崎から世界を舞台に活躍を続けている。
Profile
1962年宮崎市に生まれる。津軽三味線、太鼓、民謡の演奏と指導にあたる傍ら、国内外での公演を行い、さまざまなジャンルとのジョイントコンサート、スクールコンサートを開催。村上三絃道2代目家元であり、企画・制作・音響・村上三絃道の音楽事務所、有限会社ライフミュージック代表取締役を務める。日本ソーシャルスキル協会認定「ソーシャルスキルカウンセラー」。特定非営利活動法人ヘルスカウンセリング学会認定「ヘルスカウンセラー」。「伝統音楽を通じて暮らしと人生に夢を、そして心豊かな人作り」をテーマに活動。1男1女の母。
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