愛する人に食べさせてあげたい
生産者の思いを込めた、「さくら野菜」
Monthly Guest vol.19
馬場 浩美さん
有限会社 馬場農場 代表 兼
オーガニックカフェレストラン「ポルト・フィーノ」オーナー
宮崎市村角町に2010年9月にオープンしたオーガニックカフェレストラン「ポルト・フィーノ」は、食の安全を願う生産者が育てた野菜がメインに並ぶビュッフェスタイルのレストラン。昼時になると待ちが出るほどの人気店だ。オーナーは、残留農薬ゼロにこだわった「さくら野菜」を提供する馬場農場の経営者でもある馬場浩美さんだ。
馬場さんは24歳で農場経営者の敏郎さんと結婚。当時敏郎さんは、化学肥料や農薬を使わず養豚堆肥だけで育てる農業を進めようとしていた。自分が安心して食べられるものしか作らないという敏郎さんに共感する仲間は、安全な食の提供という強い思いでつながっていったが、敏郎さんは5年前に病気で早世。
「夢を語る人でした。天と地が汚れていくのが嫌だと言っていました。この人を支えたいと思いました。一緒に仕事をしている人たちもそうだったんですね。夫の死後も仲間から見守ってもらい、立ち直る勇気をもらいました」
流されるのではなく、自分でやらなくてはと奮い立った馬場さんは、夫の意志のもと農場経営を引き継ぐ決心をした。14軒の仲間と野菜づくりに取り組み、取引先へ向けて大切な野菜や堆肥を送り出す。事務所から現場まで目を配ったり、レストランへ野菜を届けたりと体を動かす日々。そこで子ども連れや妊婦さんが食事に来ている姿を見ると嬉しくなる。
「食事は大切。一緒に食べる食卓を大事にしたい。焼酎好きの主人の影響で、私も好きになった焼酎を飲みながら、二人で語り合った夢。お母さんの作る豚汁が一番と言ってくれた子ども達の姿。食卓って、その家庭の味や思い出、家族みんなのかけがえのない思いがつまった大切なものなんですね」と語る馬場さん。その笑顔に、愛する人たちを食で守りたいという、強い思いが溢れている。
Profile
小林市出身。高等看護学校卒業後、看護師として病院勤務。小林市立病院に勤務する頃、紹介されて敏郎さんと結婚、農業に携わる。2005年から夫の意志を継ぎ、有限会社馬場農場の代表を務める。
●オーガニックカフェレストラン「ポルト・フィーノ」
宮崎市村角町六反田4004-1
TEL:0985-55-0141